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(3) 技術援助
(4) 情報普及
研修事業は、人材育成というUNCRDの主目的からして最も重要な事業活動の一つで、他の3つの事業もこの研修との連携を考慮した形で実施される。
なかでも毎年4、5月の2ヶ月、約30〜35名の研修生を途上国から招いて名古屋で行う総合地域開発研修は、設立以来25回を数え、途上国で高い評価を受けるとともに、卒業生は60ヶ国、700名に達し、そのネットワークはUNCRDの他の事業の大きな支えとなっている。
ところが近年、途上国と一口に言っても、アジアとアフリカ、ラテンアメリカ等では、抱えている問題、関心に大きな隔たりがでてくるようになり、全世界からの途上国研修生に同一の研修を行うことに無理が生じてきた。そこでUNCRDは1992年、アフリカ地域における事業の拡大を受けて、ケニアのナイロビに「アフリカ事務所」を開設するとともに1995年から、アフリカ諸国のための一ヶ月研修を別途開始した。この研修は第3回の1997年度からは、日本政府の支援のもとUNDPとの共同プロジェクトとして、人数(現行20名)、期間も拡大し、かつアジアの開発経験を教材とするような「南々技術移転研修」として本格化する予定である。
一方、1991年からUNCRDはラテンアメリカ諸国の要請により、ラテンアメリカ特別プロジェクトを開始した。地方分権化の促進を主要テーマとするこのプロジェクトは、Phase IIの段階に入り、1995年からはWB/EDI、IULA/CELCADEL、ICLEIなどの組織との共同プロジェクトとして発展してきた。そこでUNCRDは、1997年7月を目処に、ラテンアメリカにも新事務所を開設すべく準備をしている。
事業の2番目の調査研究は、いわば、上記研修の教材作り、ならびに3番目の技術支援の一環として実施されている。というのもUNCRDには現在約80名のスタッフが居るが、その内約半数の40名が研究職スタッフであり、さらにその半分20名が博士号の学位をもつ、極めて質の高い専門家集団である。したがって研修の実施においては、カリキュラム作成はもちろん、80%の講義はスタッフ自らによって行われている。調査研究事業はそれゆえ、研究スタッフのアカデミックレベルの維持と同時に、研修の教材開発の一環として位置付けられている。
調査研究事業はまたそれ自体が、技術支援的機能を持つ。つまりほとんどの場合、調査研究は、対象国のカウンターパートと共同でおこなわれ、調査の実施を通してカウンターパートに、データ収集の方法、分析の技術、結果の計画への翻訳等の、計画のための調査研究法を教育する事になるからである。しかも多くの場合、調査研究の中間段階で、カウンターパートを日本に招聘し、日本での研修を行うとともに、中間、最終段階では、役所の関連する部局の人々に対してセミナーまたはワークショップを開き、結果の宣伝普及が計られる。

 

 

 

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